法事を執り行う際、「食事はどうすればいいの?」「どんな料理を用意するの?」など、様々な疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特に初めて法事を主催される方にとっては、慣れないことばかりで悩んでしまうことも少なくありません。
法事における食事は「お斎(おとき)」と呼ばれ、単に食事をする場というだけでなく、故人を偲び、集まってくださった方々への感謝を伝える大切な時間です。
今回は法事のお斎について、その意味や役割から、準備で気になる費用、会場の選び方、メニュー、当日のマナーまで、施主として知っておきたい情報を分かりやすく解説します。この記事を読めば、お斎に関する疑問が解消され、安心して法事の準備を進められますよ。
※本記事の内容は浄土真宗の教えをベースに記載しております。他の宗派では法事の考え方や作法が異なる場合がありますので、ご自身の宗派に合わせてご確認ください。
目次
法事の食事「お斎」とは?
法事の際に行われる食事は、「お斎(おとき)」と呼ばれます。これは、一般的に葬儀や法要の後に設けられる食事会のことであり、法事における重要な要素の一つです。
「お斎」と書くのが一般的ですが、「御斎」と表記することもあります。読み方は「おとき」が一般的ですが、地域によっては「おとぎ」と読む場合もあります。
お斎には、主に二つの意味と大切な役割があります。一つは、お忙しい中、法要のために集まってくださった僧侶や参列者の方々へ、施主(主催者)が感謝の気持ちを伝える「おもてなし」の場であるということです。もう一つは、食事をともにしながら故人の思い出を語り合い、在りし日を偲ぶ大切な「供養」の場であるということです。
お斎の費用感と会場の選び方
お斎の費用感や会場は選び方によっていくつか選択肢があります。それぞれの特徴、選び方を知り、自身に合った方法を選びましょう。
お斎の費用相場
お斎にかかる費用は、一人あたりの単価×人数が基本となります。単価は、選ぶメニューの内容や手配方法、会場によって大きく変動します。
一人あたりの費用目安は3,000円〜15,000円程度が一般的です。
仕出し弁当や自宅での準備は比較的費用を抑えられ、料理屋やホテルは高くなる傾向があります。料理代のほかに、飲み物代(フリードリンクか実費か)、サービス料、個室料、配送料などがかかります。
お斎の選び方
お斎を行う場所に、厳密な決まりはありません。
会場は様々で、自宅、ホテル、葬儀場の会食室、あるいはレストランや料亭などで行われることが一般的です。
それぞれの特徴を紹介します。
自宅
故人様や親族にとって最も慣れ親しんだ空間で食事ができるのが魅力です。会場費用がかからないため、他の会場に比べて費用を大幅に抑えられる可能性があります。時間を気にせず、リラックスしてゆっくりと故人を偲ぶことができます。親しい人だけでアットホームな雰囲気で実施できます。
参列者が集まる十分なスペースの確保や、食事の準備、会食後の片付けまで、全て施主側で行う必要があります。準備にかけられる労力と人手が必要になることを考慮する必要があります。
ホテル
多くのホテルでは法事用のプランを用意しており、中には法事自体も同じ場所で実施できる施設もあります。そのため、法要から会食への移動が少なく済み、参列者、特に高齢の方の負担を軽減できる点が大きなメリットです。
また、ホテルは交通アクセスが良い場所にあることが多く、遠方からお越しになる参列者が宿泊施設を利用できるという利便性もあります。一方で、他の会場に比べて、費用が比較的高くなる傾向がある点はデメリットとして考慮が必要です。
葬儀場の会食室
法事の食事を行う会場として、葬儀場に併設された会食室を利用するという方法もあります。会食室を利用するメリットは、法要場所からの移動が少なく済む点です。
これにより、参列者、特に高齢の方の移動の負担を大幅に減らすことができます。また、施設のスタッフに法事に関する様々な相談ができるため、お斎の手配を含め、法事全体の準備をスムーズに進められるという利点もあります。
施設によっては提携している飲食店があり、食事の手配先を探す手間が省けることもあります。一方で、同じ施設内で他の法事が執り行われていたり、一般の来場者がいたりする可能性があり、周囲が気になる場合もあります。
また、施設によっては提携している飲食店以外の食事を選べない場合や、設備の状況(バリアフリー対応など)に差がある点も考慮が必要です。
レストランや料亭
多くの場合、寺院や法要施設の近くにある飲食店が利用されます。法事用に落ち着いて過ごせる個室や、法事向けのコース料理を用意しているお店も多く存在します。
故人様が好きだったお店や、生前よく立ち寄っていたお店を選ぶことも可能です。お店でお斎を行うメリットは、まず食事の選択肢が豊富で、料理の質が高い場合が多い点です。
また、個室を選べば周囲を気にすることなく、落ち着いて故人を偲ぶ時間を過ごすことができます。故人の思い出にゆかりのあるお店を選べることも、参列者にとって印象深いお斎となるでしょう。
一方で、法要を行った場所から料理店への移動が必要になることが多い点がデメリットと言えます。また、法事に関係のない他の一般客と同じ空間を利用する場合があるため、個室の有無を確認することが重要です。
法事で選ばれるメニュー・避けるべきメニュー

お斎は、故人を偲び、参列者への感謝を表す大切な会食です。そのため、お祝い事を連想させる料理を避けつつ、参列者全員が心地よく過ごせるメニュー選びが重要になります。
選ばれるメニュー
お斎では、殺生を避けるという仏教の考えに基づき、肉や魚を使わない精進料理が定番とされていました。現在でも、和食ベースの懐石料理や仕出し弁当が主流であり、精進料理の要素を取り入れたメニューが多く選ばれています。具体的には煮物や和え物、揚げ物、お寿司などが定番になっています。
しかし、近年の傾向としては厳密な精進料理のルールに縛られず、より柔軟なメニュー選びがされるようにもなってきました。フレンチや中華などを選んでも問題ありません。大切なのは「故人の供養と感謝」の気持ちです。例えば、「故人が好きだったからエビチリを出したい」「蕎麦が好きだったのでメニューに組み込みたい」といった故人の好物を積極的に取り入れることもできます。
お斎には、小さなお子さんからご高齢の方まで、幅広い年齢層の参列者が集まることがあります。すべての方が安心して食事を楽しめるよう、きめ細やかな配慮も重要です。
お子様向けメニューやご高齢の方も食べやすいように柔らかく消化しやすい食材、薄味の料理などの配慮も心掛けることが大切です。
避けるべきメニュー
お斎は故人を供養し、参列者に感謝を伝える場であり、お祝い事とは異なる目的を持ちます。そのため、お祝い事を連想させる料理や食材は避けるのがマナーです。
「めでたい」に通じる鯛や、見た目が華やかな伊勢海老、エビ、カニなどの甲殻類は、一般的に慶事の料理として使われるため、法事のお斎では避けるべきとされています。
お祝いの席で出されることが多い赤飯や、縁起物とされるハマグリを使ったお吸い物、紅白の色合いの食材や飾り付け(かまぼこなど)、鶴や亀の形の飾り物なども、お斎にはふさわしくありません。
地域や宗派によっては、避けるべき食材や料理の慣習がある場合もあります。不安な場合は、事前に葬儀社や寺院、地域の詳しい方に確認しておくと安心です。
お斎での挨拶や服装マナー
お斎は、施主としても参列者としても、適切な挨拶や服装で臨むことが求められます。施主が会食の始まりと終わりに挨拶を行います。これは、参列者への感謝と、故人を偲ぶ気持ちを伝える大切な機会です。
開会の挨拶では、参列者への感謝を述べ、法要が無事に滞りなく執り行われたことを報告します。故人の思い出に触れつつ、お斎の席で故人を偲んでほしい旨を伝え、献杯の音頭を親族代表や故人と親しかった方へ依頼します。献杯は故人に敬意を表し、杯を捧げる行為です。
お祝い事の「乾杯」とは異なり、大きな声を出したり、グラスを打ち鳴らしたり、拍手をしたりはしません。献杯の発声があったら、静かにグラスを目の高さ程度に掲げ、故人を偲びながら一口、あるいは口をつける程度で静かに飲み干しましょう。
閉会の挨拶は、改めて参列者への感謝を伝えます。名残は尽きないが、時間になったのでお開きにする旨を述べ、今後も変わらぬお付き合いをお願いする言葉で締めくくります。
服装は、施主と参加者ともに故人への敬意を表す「喪服」が原則となります。
一般的に、三回忌までは「正喪服」または「準喪服」を着用します。七回忌以降は「略喪服」(ダークスーツや地味な色のワンピースなど)でよいとされることもありますが、普段着のようなカジュアルな服装は避け、落ち着いた色合いの地味な服装を選びましょう。
まとめ
今回は、法事の食事に関する情報を紹介しました。故人を偲ぶ大切な場であるからこそ、食事の場所・内容やマナーにも心を配ることが大切です。事前にしっかりと準備を整え、感謝の気持ちを形にしましょう。
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