追求した麺づくり PURSUIT OF NOODLE MAKING

創業から語り継がれてきた想いが津村製麺所にあります。
それは、「本物の味をまごころ込めて
この言葉がどう製品に現れているのか。製造工程から社長が語りましょう。

「本物の味」は原材料から生み出される。

「本物の味」は原材料から生み出される。

私たちの製造工場は、平日4時から稼働し、店舗で提供するもの、通販サイトで販売するもの、地元のスーパーや学校給食、飲食店へ卸す麺を作ります。

麺づくりで一番大切な工程、生地を作っているのが私、代表の津村 健太です。小麦粉と水を混ぜて生地の土台を作る作業は麺の味を左右し、津村製麺所の味そのものを生み出す工程です。この部分だけは、長年の経験が重要となります。

麺は小麦粉、水、塩とシンプルな材料で製造されます。無駄がない材料だからこそ、原材料選びと材料の配分は慎重に行わなければいけません。

小麦選びは徹底的に

小麦選びは徹底的に

麺の味は「小麦粉の品質」で決まると言っても過言ではありません。
小麦粉の種類や品種でも出来上がりが全然違うので、素材選びは本当に重要です。
今では「きたほなみ」「春よこい」「ゆめちから」「つるきち」といった北海道産の小麦を使っていますが、私が入社した当時は、製麺業界では外国産の小麦を使うのが常識でした。

その理由は、国産小麦の品質がまだまだ安定していなかったからです。
その後、時代と共に日本でも小麦生産の技術が高まり「きたほなみ」が開発された時に北海道産の小麦粉に切り替えました。オホーツク特有の冷涼な気候で育った小麦は、麺にした時の風味が他の小麦粉と比べ格別だったからです。

作っている私にしかわからない感覚ですが、材料を混ぜ生地が出来上がった後に蓋を開けると香りが小麦によって本当に変わるんです。
外国産、国内産の小麦ごとでも香りが変わるので、ここは作った人にしかわからない小麦の違いかもしれないですね。小麦一つで全てが変わるんです。

オホーツク産の小麦は国内産の小麦と比較しても品質の高いものだと思っています。だからこそ、当社の麺を通してオホーツク産の小麦の品質を知っていただければと思っています。

さらに言えば、同じ小麦の品種「きたほなみ」でも製粉会社によって味や色味、風味が違います。以前は直接製粉工場に出向き、新しい小麦粉でテストで作ったりし、比べてから仕入れるようにしていました。

現在では、北海道産の小麦にこだわり製造してますが、外国産の小麦を全く使わないわけではありません。飲食店に卸す麺はお店の味に合わせることもしているのでブレンドとして混ぜることもあります。

その中でもやはり大切にしたいことが、「生産者の想いも一緒にお客様に感じていただきたい」と思っていることです。

素材には作っている人の想いが宿ります。食べ物に限らずどんなものでも。生産者さんのストーリーものせて味わえる、ここがオホーツク産小麦にこだわる理由です。

輸入品だとこの醍醐味は味わえない、製品にこもらないと思っている。

生産者の想いを含めて津村製麺所の麺の味がでているとかんじていただければ嬉しいです。

「こんなに嬉しそうに小麦を扱っている人は見たことがない」

「こんなに嬉しそうに小麦を扱っている人は見たことがない」

麺づくりでもう一つ大切な部分、それが「水加減」です。
弊社の工場は設備が新しくはないので、室内の温度や湿度に合わせて水加減を調節し美味しいものを作り続けなければいけません。

夏になれば、工場内の温度は上がり水加減を間違えると柔らかすぎる生地にもなるし、冬になれば水が冷たくなるので注意しないといつもの美味しさにはなりません。季節によって水の温度も異なるので、環境を感じとって作る経験と感覚が必要です。

いくらレシピ通りに作っても実際に作ると違う味になるので、そこは技術が必要です。1年間安定して毎日同じ味、質を担保したものを作り続けるのは本当に難しい部分ですが、やりがいも同時にあります。

先日、食品関係の方が麺づくり現場を見学した際にこんなことを言われました。
「こんなに嬉しそうに小麦を扱っている人みたことない」「材料を丁寧に扱う人だ」

経営者って会社のいろんなこと考えなければいけないですが、私はなんだかんだ言って”麺づくりが好きなんです”

もしかしたら製造者の気持ちも麺に現れているかもしれませんね。

技術ではない手作業に込められるもの。それが「まごころ」

技術ではない手作業に込められるもの。それが「まごころ」

津村製麺所では、私が作った生地を機械で麺の形に仕上げていきます。
機械といえど、ここが一番「まごころがこもる」作業だと私は感じています。

ここでは、手で1本1本品質を確認し手作業で袋づめをします。目や手の感覚が生かされ、人間の心が宿る重要な工程です。この一連の作業には、「食べてくれる人に喜んで欲しい」と麺に魂が吹き込まれる瞬間です。

私たちが全て機械に頼らないのは「本物の味をまごころ込めて」という創業から語り継がれた信念があるから。この信念を引き継いでいるのはスタッフだけではありません。

工場内ではよく不思議な現象が起こります。

不安な気持ちで機械を触ったり、新入社員の方はよく機械のトラブルが起きやすくなったりします。私も入社したて時はよくトラブルに見舞われました。私が長年みてきた経験ですが、触る人によって機械の調子が変わることがあるのです。

「つまりまごころがこもっている作業かどうかは機械がみているのです」

2代目から受け継いできた機械は、まるで人の心を映す鏡のように全てお見通し。創業の精神を知り、まごころ込めて仕事に取り組んでいるかどうか一番知っているのは機械も一緒です。

私たちの技術や想いは時代や人が変わってもこうして積み上げられているのです。